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政談 (岩波文庫 青 4-1) 文庫 – 1987/7/16
- 本の長さ386ページ
- 言語日本語
- 出版社岩波書店
- 発売日1987/7/16
- 寸法10.5 x 1.5 x 14.8 cm
- ISBN-104003300416
- ISBN-13978-4003300411
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2024年2月25日に日本でレビュー済み
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荻生徂徠による18世紀前半の著述ながら、マネーストックは、信用創造によってマネタリーベースの貨幣乗数倍になるといった、先進的金融論についても言及しています。当時、ここまで経済を俯瞰できる人物がいたとは驚きです。経済というものの本質を最後まで理解できなかった新井白石とは対照的です。
2019年9月6日に日本でレビュー済み
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江戸時代政治史の名著。このような文庫本という手軽な形で読めるのは幸いである。
2019年8月29日に日本でレビュー済み
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現代文ではなく現文に近いかたちで読めるのはとても有り難いです
とくにコンパクトな文庫で読めることは
とくにコンパクトな文庫で読めることは
2004年5月4日に日本でレビュー済み
元禄時代に柳沢吉保の助言者として名を挙げた荻生徂徠が,その晩年,英傑の呼び声高い八代吉宗に幕藩体制の建て直しを期待して献上した労作。建策当時は徂徠の高弟さえその存在を知らなかった秘本扱いだったそうです。
まずは当時の社会問題,経済問題の根本的原因を探ります。筆者は,武士が街中に居付いて余分な消費活動にかまけてばかりいて生産活動に関与しないこと,身分秩序が乱れて分不相応な消費経済が放置されていること,などが,それら諸問題の原因となっていると分析します。ではそれをどうするか。武士は土着に帰ること,身分関係をきちんとして要りもしないものの需要を減らし,無意味な物価高騰を抑えること,などが説かれます。
もちろん,人の欲望のだらしなさに対して青天井と言っていいほどに寛容な今日の考え方からすれば,身分不相応な欲望は抱くべからずというような主張を現実の政策として採り入れることはできないのでしょう。しかし,筆者の分析は整然としていて,こうなるからこういう結果になる,だからこういう問題が出てくる,という流れが,とても論理的に心地よく説かれているので,その考えの筋道だけでも大いに範とするところがありそうです。
荻生徂徠の業績の真骨頂となると,古文辞学と称される分野の『弁名』『弁道』などの著作にこそ見出されるのかもしれません。でも,この『政談』には,並はずれた社会政策のセンスが発揮されており,これはこれで見落とすことのできないタイトルだと思います。
少々厚めの本ですが,当時の世情も活き活きと伺えるし,読後の満足度は高いと思います。
まずは当時の社会問題,経済問題の根本的原因を探ります。筆者は,武士が街中に居付いて余分な消費活動にかまけてばかりいて生産活動に関与しないこと,身分秩序が乱れて分不相応な消費経済が放置されていること,などが,それら諸問題の原因となっていると分析します。ではそれをどうするか。武士は土着に帰ること,身分関係をきちんとして要りもしないものの需要を減らし,無意味な物価高騰を抑えること,などが説かれます。
もちろん,人の欲望のだらしなさに対して青天井と言っていいほどに寛容な今日の考え方からすれば,身分不相応な欲望は抱くべからずというような主張を現実の政策として採り入れることはできないのでしょう。しかし,筆者の分析は整然としていて,こうなるからこういう結果になる,だからこういう問題が出てくる,という流れが,とても論理的に心地よく説かれているので,その考えの筋道だけでも大いに範とするところがありそうです。
荻生徂徠の業績の真骨頂となると,古文辞学と称される分野の『弁名』『弁道』などの著作にこそ見出されるのかもしれません。でも,この『政談』には,並はずれた社会政策のセンスが発揮されており,これはこれで見落とすことのできないタイトルだと思います。
少々厚めの本ですが,当時の世情も活き活きと伺えるし,読後の満足度は高いと思います。
2018年9月11日に日本でレビュー済み
江戸時代を代表する思想家である荻生徂徠が、時の将軍であった徳川吉宗にあてて提出した意見書。
江戸開闢から時代が過ぎて、徳川幕府の政治構造が、貨幣経済の浸透によって大きな危機を迎えていた。
荻生徂徠は、そうした状況を冷静に分析した上で、武士が地方に戻り、貨幣経済によらない統治のあり方を提案した。
他にも、時代とともに変わってしまった多くの制度を本来の姿に戻すことを提言している。
単に昔に帰れというだけでなく、現状に対する深い洞察に基づいているのが、荻生徂徠の提言の大きな特徴のようだ。
江戸開闢から時代が過ぎて、徳川幕府の政治構造が、貨幣経済の浸透によって大きな危機を迎えていた。
荻生徂徠は、そうした状況を冷静に分析した上で、武士が地方に戻り、貨幣経済によらない統治のあり方を提案した。
他にも、時代とともに変わってしまった多くの制度を本来の姿に戻すことを提言している。
単に昔に帰れというだけでなく、現状に対する深い洞察に基づいているのが、荻生徂徠の提言の大きな特徴のようだ。
2022年9月18日に日本でレビュー済み
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〇 全体は4巻に分かれている。巻の1は治安維持政策。江戸では犯罪が多かったようで、幕府の対応には大いに問題ありと徂徠は考えていた。犯罪捜査のための幕府の要員が断然不足していたし、目明しなどというやくざ者を手下に使ったために不正が多かったらしい。
〇 徂徠はまた、問題の根本に目を向ける。武士も百姓も本来の土地を離れて都会に出てくるから秩序が乱れる、土地に居つかせて地頭や庄屋にしっかりと管理監督させれば良いのだ、と言う。そのうえで万事にわたって容易に揺るがない基本法制(これを制度と言っている)を整えてやらなければならないと主張する。人を土地に縛り付けること、確固たる基本制度を打ち立てることは、徂徠が『政談』を通じて繰り返し論じてやまないところである。
〇 巻の2は経済政策。経済学を知っている現代人の目で読めばおやおやと思うことも多い。しかし笑ってはいけない、時代が違うのだ、そう思ってよく読んでみれば徂徠は、需要と供給の関係も理解しているし、需要が増大して供給が追い付かないことが問題であることも承知していることがわかる。おやおやと思うのは、各人の身分に応じたつつましやかな消費生活を送らせようという消費統制経済政策を主張しているからである。おそらく現代の人は、世の中の進歩と成長を考えるべきではないのかと批判することだろう。ただ当時は日本の人口が3千万人で横ばいを続けており、成長や進歩が必然だという考えがなくても止むを得ないと思う。それは静かで千年一日のごときサステナブルな世界だったのだ。
〇 巻の3は行政組織と人事。こちらは今日の会社にもぴったり当てはまる話ばかりでおもしろい。いわく各役職の業務とポスト間の序列を明確にせよ、幹部は暇を作って余裕をもて、だれもかれも雑用で走り回って忙しそうにせず本来の仕事に専念せよ、幹部の役割は下の者を見出して能力を発揮させるところにあるのだから細かいことに口出しをせずに部下を見守れ、優れた人材は必ずいるものだからこれを登用せよ、長く上位のポストにいると段々能力は衰えるなどなど。そのとおり!と声を掛けたくなるようなことをズバリと言ってくれる。驚いたのは、いつまでも家柄で上下を固定していると下の層の才知ある者が不満を持って世の中をひっくり返すことになると言っていることで、まるで明治維新の予言ではないか。
〇 巻の4はその他の相続、風俗、武士の服務規則など雑多な問題を扱っている。
〇 全体を通じて、徂徠の合理的な考え方が印象に残った。まず現状を正しく観察評価して、それからその対策を考えようとする。眼前の制度をただ漫然と踏襲するのではなく、そもそもそれはどのような目的で作られたものかを考え、それに適った運用を主唱する。
〇 また原理原則を大切にするところは学者らしい。眼前におこる問題について場当たり的に指示を出してもうまく行かない、まず制度をしっかりと立てて、その制度から逸脱したら必ず咎めるようにしないと施策の一貫性が保てないし人々も従わない、と言う。その制度の中身は何かと言えば、身分に応じて細かく定められた各人の行動規範のことを言っている。
〇 徂徠はまた思いのほか柔軟でもある。昔の気風を賛美するのだが、むやみに昔風に戻せばよいとは言わない。尚武の気風が衰えて世の中が万事柔らかになったと嘆いたうえで、しかし世の中を元に戻すのはむずかしいから万事柔らかな世界であることを前提に秩序維持の制度を立てなければならないと言う。
〇 これは本書の副産物と言うべきだろう、徂徠が当時の世の中の問題点を逐一指摘するので、結果的に江戸や田舎の人々の暮らしぶりがよくわかる。大名の振る舞い、幕府役人の日常、武家婦人の習慣、商人のやり手ぶり、与力・同心・目明しの関係などなど、なかなかに面白い。
〇 文章はじつに平易で卑俗と言ってもよいくらいだ。大学者徂徠にとって難解な漢語や凝った言い回しを散りばめて格調高い文章を書くことなど朝飯前だったはず。時の権力者たちによく読んでもらいたいよく理解してもらいたいと考えてわかりやすく書いたに違いない(そう言えば、本文中に「御老中、若老中は無学なるがゆえに・・・」などという記述も時々ありましたっけ)。
〇 徂徠はまた、問題の根本に目を向ける。武士も百姓も本来の土地を離れて都会に出てくるから秩序が乱れる、土地に居つかせて地頭や庄屋にしっかりと管理監督させれば良いのだ、と言う。そのうえで万事にわたって容易に揺るがない基本法制(これを制度と言っている)を整えてやらなければならないと主張する。人を土地に縛り付けること、確固たる基本制度を打ち立てることは、徂徠が『政談』を通じて繰り返し論じてやまないところである。
〇 巻の2は経済政策。経済学を知っている現代人の目で読めばおやおやと思うことも多い。しかし笑ってはいけない、時代が違うのだ、そう思ってよく読んでみれば徂徠は、需要と供給の関係も理解しているし、需要が増大して供給が追い付かないことが問題であることも承知していることがわかる。おやおやと思うのは、各人の身分に応じたつつましやかな消費生活を送らせようという消費統制経済政策を主張しているからである。おそらく現代の人は、世の中の進歩と成長を考えるべきではないのかと批判することだろう。ただ当時は日本の人口が3千万人で横ばいを続けており、成長や進歩が必然だという考えがなくても止むを得ないと思う。それは静かで千年一日のごときサステナブルな世界だったのだ。
〇 巻の3は行政組織と人事。こちらは今日の会社にもぴったり当てはまる話ばかりでおもしろい。いわく各役職の業務とポスト間の序列を明確にせよ、幹部は暇を作って余裕をもて、だれもかれも雑用で走り回って忙しそうにせず本来の仕事に専念せよ、幹部の役割は下の者を見出して能力を発揮させるところにあるのだから細かいことに口出しをせずに部下を見守れ、優れた人材は必ずいるものだからこれを登用せよ、長く上位のポストにいると段々能力は衰えるなどなど。そのとおり!と声を掛けたくなるようなことをズバリと言ってくれる。驚いたのは、いつまでも家柄で上下を固定していると下の層の才知ある者が不満を持って世の中をひっくり返すことになると言っていることで、まるで明治維新の予言ではないか。
〇 巻の4はその他の相続、風俗、武士の服務規則など雑多な問題を扱っている。
〇 全体を通じて、徂徠の合理的な考え方が印象に残った。まず現状を正しく観察評価して、それからその対策を考えようとする。眼前の制度をただ漫然と踏襲するのではなく、そもそもそれはどのような目的で作られたものかを考え、それに適った運用を主唱する。
〇 また原理原則を大切にするところは学者らしい。眼前におこる問題について場当たり的に指示を出してもうまく行かない、まず制度をしっかりと立てて、その制度から逸脱したら必ず咎めるようにしないと施策の一貫性が保てないし人々も従わない、と言う。その制度の中身は何かと言えば、身分に応じて細かく定められた各人の行動規範のことを言っている。
〇 徂徠はまた思いのほか柔軟でもある。昔の気風を賛美するのだが、むやみに昔風に戻せばよいとは言わない。尚武の気風が衰えて世の中が万事柔らかになったと嘆いたうえで、しかし世の中を元に戻すのはむずかしいから万事柔らかな世界であることを前提に秩序維持の制度を立てなければならないと言う。
〇 これは本書の副産物と言うべきだろう、徂徠が当時の世の中の問題点を逐一指摘するので、結果的に江戸や田舎の人々の暮らしぶりがよくわかる。大名の振る舞い、幕府役人の日常、武家婦人の習慣、商人のやり手ぶり、与力・同心・目明しの関係などなど、なかなかに面白い。
〇 文章はじつに平易で卑俗と言ってもよいくらいだ。大学者徂徠にとって難解な漢語や凝った言い回しを散りばめて格調高い文章を書くことなど朝飯前だったはず。時の権力者たちによく読んでもらいたいよく理解してもらいたいと考えてわかりやすく書いたに違いない(そう言えば、本文中に「御老中、若老中は無学なるがゆえに・・・」などという記述も時々ありましたっけ)。